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本社を東京ガーデンテラス紀尾井町へ移転し、オフィスファシリティ・コーポレートIT を刷新した話

はじめに

社内情報システム部 / CISO室 所属 コーポレートエンジニアの 大多和(id:rotom)です。

2022年12月5日、一休は本社オフィスを港区赤坂から千代田区紀尾井町の東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井町タワーへ移転しました。 ヤフーや PayPay、ZOZO をはじめ、Zホールディングス各社やデジタル庁も入居するビルです。

新オフィスのコンセプト、概要についてはプレスリリースをご覧ください。

prtimes.jp

当社は2022年4月に働き方を刷新し、オフィスワークとリモートワークのハイブリッド制を導入しました。従業員がより高いパフォーマンスを発揮できるよう、オフィスワークの日を職種ごとに週1・3・5回に分けています。移転後の座席は、出社回数に応じて、フリーアドレス・グループアドレス・固定席の「ハイブリッド」とし、オフィス勤務時には従業員同士が円滑にコミュニケーションを取れるよう設計しました。

一休は2022年4月よりリモートワークとのハイブリッド勤務となるように働き方が大きく刷新されました。

本社移転に伴い、ただ現状のインフラのまま引っ越すだけではなく、上記のような時勢に合わせた新しいオフィスファシリティの構築、PBX や FAX のほかオンプレミスサーバーを撤廃した、クラウドネイティブでモダンなコーポレートIT への刷新も行いました。 今回はその取り組みの一部をご紹介します。

この記事は corp-engr 情シス Slack(コーポレートエンジニア x 情シス) #1 Advent Calendar 2022 15日目の記事でもあります。他の素晴らしい記事は以下のリンクからご覧ください。

adventar.org

オフィスファシリティ

まずはオフィス環境についてご紹介します。一休の前オフィスは5階・6階・7階の3フロアに分かれていましたが、今回の移転で10階のワンフロアに統合されました。 これまでの3フロアの床面積を合計しても、なお新オフィスのワンフロアのほうが広いという一休史上最大規模のオフィスです。

執務室

執務室はエンジニアに限らず、営業、バックオフィスなどを含む全ての座席にエルゴヒューマンのチェアが設置されています。 後述しますが、今回の移転のタイミングで各席に置かれていた固定電話を廃止し、机上への配線は OA タップのみという非常にすっきりしたデスクになりました。

エンジニアエリア

前述の通り、職種に応じてオフィスへの出社日が決まっており、エンジニア職は週1 オフィスワークの職種です。 そのため、各事業部のソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストなどの席は、従来の固定席を廃止しフリーアドレス化しました。

エンジニア席には LG 製の 4K ディスプレイが標準で配備されています。USB PD(Power Delivery)給電に対応しているため、出社時も充電アダプタを持ち歩く必要がなく、USB-C ケーブルを接続すればモニタへの出力と充電を同時に行うことができます。

会議室 / 個室ブース / 集中スペース

コロナ前は会議室で対面で行っていたミーティングは、コロナ禍に Zoom や Google Meet を利用したオンラインミーティングへと移行しました。 そのため、新オフィスでは大人数向けの会議室より、1on1 などで利用できる小規模の会議室や、遮音性の高いオンラインミーティング用の個室ブースや、囲いで覆われた集中ブースで多く設置されています。

会議室の壁はホワイトボードになっているため、ブレインストーミングなどに最適です。

オフィスは非常に広く、座席も大量にあるのですが、エンジニアにはここが一番人気のようです。

また、窓際には予約不要で利用できるフリースペースは多く設置されており、ちょっとした打ち合わせにサクッと利用できます。

晴れた日のカウンター席は景観がよく、素晴らしい夕日が差し込むおすすめスポットです。

ラウンジ

社内で「ラウンジ」と呼ばれているのが休憩や食事、社内イベントなどに利用されるリフレッシュスペースです。写真の「イソテーブル」と呼ばれる什器はヤフーで使われていたものを譲り受けました。新オフィスのコンセプト「サステナビリティ」を体現しており、早速ティーブレイクやちょっとした打合せで活用されています。

前オフィスでは、コロナ前はラウンジのあったフロアに全就業員が集まり、経営陣からの実績報告やケータリングの料理やお酒を楽しむパーティーが開催されていました。 また、技術コミュニティのIT勉強会や、外部の経営者をお招きした MANABIBA と呼ばれる経営対談も活発に行われていました。

これらのイベントはコロナ禍では YouTube Live や Zoom ウェビナーを活用した配信方式への切り替わっていました。 オフィスワークとリモートワークのハイブリッド制となった今、このラウンジも会場・配信の双方に最適化されたAV システムに刷新しました。

社員食堂 / カフェテリア / コンビニ / コワーキングスペース

東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワーはヤフーをはじめ、Zホールディングス各社が多く入居するオフィスビルです。 一休も同じビルへ同居することでヤフーのオフィス設備の一部を利用させていただいています。

1つ上の11階にはBASE11と呼ばれる社員食堂・カフェテリアがあります。紀尾井町は前オフィスの赤坂と比べ飲食店街からは少し離れた場所に位置するため、外食をするには移動しなければなりません。オフィス内に社員食堂があることで、安くて美味しいバランスの採れた食事を日替わりで食べることができ大変便利です。

about.yahoo.co.jp

同フロアにはZホールディングスのアスクル・出前館が運営するコンビニ Yahoo!マート の店舗もあり、オフィスから出なくても食事や日用品を購入することもできます。

about.yahoo.co.jp

また、コロナ前は一般の方へも公開していたコワーキングスペースの LODGE は現在はZホールディングス従業員向けに公開されています。

lodge.yahoo.co.jp

一休のオフィスはワンフロアですが、このようにヤフーのオフィス設備も利用させていただくことで快適に業務を行える環境が整っています。

コーポレートIT

ここからはコーポレートITの話をします。移転前のオフィスにはサーバールームがあり、オンプレミスで稼働しているサーバーが複数ありました。 これらのオンプレミスサーバーは以前より AWS への移行や SaaS へのリプレイスなどクラウド移行を継続して行っており、移転前の時点ではプロキシサーバーと PBX を残すのみとなっていました。

今回の移転のタイミングでプロキシサーバーをクラウド移行を完了し、固定電話も廃止することで PBX を撤廃し、新オフィスからはサーバールームが無くなりました。

電話 / Dialpad Enterprise

前オフィスではサーバールームに PBX が設置されており、事業部や本部ごとに電話番号を持ち、各席には固定電話機が設置されていました。 コロナ感染拡大に伴い、全社的に在宅勤務の体制が取られた際に、コールセンターや一部部署で先行して利用していたピュアクラウド型のビジネスフォンシステム Dialpad を全社導入しました。

www.dialpad.co.jp

固定電話の番号を Dialpad で発番した 050 の番号に即時転送をかけることで、オフィスに出社することなく、在宅でも受電対応が行える環境を構築しました。 このときの取り組みは大規模な導入になったため、Dialpad Japan の導入事例としてもご紹介いただいております。

japan.blog.dialpad.com

Dialpad はフルクラウドであることから非常に管理がしやすい一方で、IP 電話であるため電話番号が 050 番号でした。 当時は 050 番号から 0120 を始めとするフリーダイヤルへ発信できないことや、03 番号への着信の転送への折返しの際も先方には 050 番号が表示されてしまうため出ていただけないことがある、といった課題感もありました。 この課題を解決するためには自社でゲートウェイを設置する必要があり、フルクラウドである恩恵を得られにくいものでした。

www.softbank.jp

2021年9月に Dialpad Air 0AB-J という新オプションが登場し、ゲートウェイなどの機器を設置不要で 03 番号(0-ABJ)が利用可能になったことから、今回の移転のタイミングでオンプレ PBX を脱却し、Dialpad へ一本化することを決めました。 この際、利用部門が大きく拡大することからグループ数が無制限となる最上位プランであり、Azure AD による SAML/SSO や SCIM にも対応した Enterprise にアップグレードを行いました。

現在は元から固定電話のないエンジニアをのぞく、全ての部門で Dialpad を利用しています。

FAX / FAX PLUS Enterprise

PBX を同じく、オフィスに設置されているオンプレミス機器として FAX の存在がありました。 事前のヒアリングから事業部、管理本部ともに FAX はすでに業務でほぼ利用されていないことは分かっていましたが、官公庁やビルの防災センター、クレジットカード会社など、一部 FAX でしか受付を行えない組織との取引手段として、FAX は今後も残す必要がありました。

従来の FAX はアナログ回線を引き込み複合機から送信するものでしたが、これもオフィスからではないと送受信が行えないため現在の働き方には合っておらず、フルクラウド型へ移行しました。

選定したのは FAX PLUS というスイスのオンライン FAX サービスで、マルチプラットフォームかつ Web アプリから利用可能なものです。

www.fax.plus

海外 SaaS ではあるのですが、日本の FAX 番号を取得することが可能です。2022年12月時点では 050 番号のみ利用可能で、03 番号などの 0-ABJ は利用できません。 050 番号の取得には日本の法律により審査が必要で、登記簿謄本や代表者(または委任を受けた担当者)の本人確認書類などの提出が求められます。サポートとは英語でのやりとりなので難易度は少し高めでした。

FAX PLUS も最上位である Enterprise プランを契約し、Azure AD による SAML/SSO や SCIM を構築しています。

また、Slack とのインテグレーションが可能であり、FAX を受信した際は Web アプリを開くことなく、Slack のチャンネルから直接 PDF で閲覧・ダウロードが可能です。

入退室管理 / Akerun コントローラー

オフィスの入退室を管理するセキュリティ製品も、移転前にオンプレミスサーバー型のものからクラウド型のものへリプレイスを行っていました。Akerun コントローラーという製品です。

akerun.com

Akerun というと、WeWork などのレンタルオフィスに工事不要で設置ができる Akerun Pro のイメージが強いかもしれません。 今回選定している Akerun コントローラーは、専門業者の工事により、既設のオフィスビルの電子錠や自動ドアにも対応したものです。

corp.teamspirit.com

また、Akerun は勤怠管理システムである TeamSpirit と API 連携を行うことが可能であるため、オフィスに出社した際には出勤・退勤が自動打刻されるように設定を行いました。 一休は北海道から沖縄まで多くの拠点を持ちますが、全ての拠点で Akerun へのリプレイスが完了しており、勤怠打刻の自動化は多くの従業員に喜んでいただけています。

終わりに

今回の移転ではモダンなオフィス・コーポレートIT環境へ一気に推進することができており、キラキラなオフィス環境にも見えるかもしれません。 一方で、タイトなスケジュールの中でのオフィス移転は、想定外のトラブルも含め多くの課題もあり、まだまだ改善・進化の余地が残されています

情シス / コーポレートエンジニアとして、エンジニアを含む従業員体験を向上を目指し、皆さんがより快適に業務を行うことができるオフィス・コーポレートIT 環境を目指して、引き続き全力でやっていきます 💪

突然ですが、ここで CM のお時間です

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www.ikyu.co.jp

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また、今回ご紹介した話はコーポレートITの取り組みの一部です。より深堀りした内容を Business Technology Conference Japan(BTCONJP) というITのカンファレンスでもお話させていただく予定です。 ご都合の合う方はこちらも是非オンラインにてご参加ください 🙏

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