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ヘルプデスクに Halp を導入して改善した話

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社内情報システム部 コーポレートエンジニアの大多和(id:rotom / tawapple)です。 最近はオフィスファシリティと、Jamf Pro や Dialpad や、情シスの採用をやっています。

今回は情シスの業務において外すことのできない、社内のヘルプデスクを改善した話をします。

一休のヘルプデスクについて

これまでのヘルプデスク

2018年の記事でも紹介している通り、一休では営業やコーポレート部門のメンバーを含めた全メンバーで Slack・Google Workspace を導入しています。

user-first.ikyu.co.jp

社内からのヘルプデスクについては、Google フォームに入力してもらった内容が Slack に自動投稿され、Slack のスレッドでやりとりを行い、問題を解決していました。

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この方法を導入することで、口頭、電話、Slack など分散していた問い合わせ窓口を1つのチャンネルに集約することができました。

課題だったこと

一方で、この方法を使った運用にはいくつか課題点がありました。

対応状況のステータスが分からない

この問い合わせが対応待ちなのか、調査などの対応中なのか、すでに解決しているのか、忘れられているのか、といったステータスがひと目でわからず、スレッドでのやりとりや、絵文字でのリアクションでしか確認することができない状況でした。

これにより対応の抜け漏れが発生することがあり、改善点として挙げられていました。

スマートフォンから投稿しづらい

一休のメンバーは営業が6割を占めており、ホテル・旅館やレストランなどの取引先や移動中など、外出時に問い合わせを行うことも少なくありません。

Google フォームを使った問い合わせ方法は、情シスにとっては管理がしやすくなった一方で、ユーザーにとってはスマートフォンからの投稿に手間が多い状態でした。 ブログのドメインにもなっていますが、一休は全社を通して「ユーザーファースト」という、ユーザーにとっての価値を追求する文化が根付いています。

www.ikyu.co.jp

情シスにとってのユーザーは社員であり、この状態はユーザーファーストではありませんでした。 また、外出時の問い合わせは緊急を要することも多く、問い合わせから解決までをスピーディーに行う必要があります。

以上のことから、スマートフォンからも投稿しやすく、すばやく問い合わせができる仕組みをつくる必要がありました。

DM で問い合わせがきてしまう

上記の使い勝手の悪さもあり、Slack の DM で情シスメンバーに直接問い合わせがよくありました。

ヘルプデスクを DM で行ってしまうと他者からやりとりが見えないため、ナレッジが貯まらず同じ問い合わせが続いてしまう、対応が属人化し特定のメンバーに負荷がかかってしまう、対象のメンバーが離席していると対応が遅れてしまう、など多くの問題を抱えていました。

qiita.com

これらの課題からヘルプデスクにチケット管理ソリューションの導入を検討しました。

Halp について

ここで本題の Halp の登場です。ハルプと読みます。

www.atlassian.com

アメリカのスタートアップ企業が開発していたヘルプデスクソリューションで、2020年5月に Jira や Confluence などを開発する Atlassian が買収しました。

jp.techcrunch.com

一休では2020年7月から検証・評価を開始し、実用性の確認が取れたことから2020年10月に本導入しました。

Halp で改善できたこと

対応状況の見える化

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Halp のコンソールより、チケットごとのリクエスター(ユーザー)、アサインエージェント、対応状況、最終更新日時が一覧で確認できます。 これにより、誰もアサインされていないチケットや、しばらく更新されずオープンのままのチケットなどを確認することができ、抜け漏れを防げるようになりました。

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また、Halp のレポート機能により、チケットを拾うまでの応答時間(First Response Times)、解決までにかかった時間(Resolution Times)を表示することができます。 問い合わせの粒度がまばらなため数値は大きめになってはしまうのですが、ここの数値は少しでも小さくなるように意識し対応しています。

また、日ごとのチケット作成数や、アサインエージェントごとの担当チケット数もこちらから確認可能となっています。

Slack ネイティブな問い合わせと対応

Halp ではチケットの発行からクローズまで、Slack 上で完結することができます。

it-helpdesk のようなユーザー対応を行うヘルプデスク用チャンネルと itdept-triage のような情シスメンバー用のトリアージチャンネルの2つを用意します。

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ユーザーはチケットについて意識せず、ただ Slack のヘルプデスクチャンネルに問い合わせるだけで、自動でチケットが発行されます。

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Bot がチケットを発行した旨をスレッドに投稿します。このあとのユーザー対応はスレッドで行います。 このやりとりはすべてトリアージチャンネルと自動同期するため、情シスメンバーはトリアージチャンネルのみで対応可能です。

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情シスメンバー内での相談や依頼などは :lock: 🔒 の絵文字を先頭につけることで、ヘルプデスクチャンネルには自動同期されず、やりとりをすることができます。

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ステータスの更新、クローズまで、すべてチケット操作が Slack 上で完結し、他のシステムやページを開く必要もありません。

これにより、ユーザーはヘルプデスクチャンネルだけ、情シスはトリアージチャンネルだけで問い合わせが完結し、 スマートフォンからも操作がしやすいSlack ネイテイブな対応が可能となりました。

DM 問題への対応

Halp は DM に対しても機能します。DM で届いた問い合わせにも :ticket: 🎫 リアクションをつけることでチケットが発行されます。

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発行されたチケットはトリアージチャンネルに自動投稿されるため、ナレッジを情シスメンバー内に共有することができます。 また、DM がチケット化されることで対応状況や対応件数も把握できるようになりました。

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日頃より DM ではなくチャンネルで問い合わせていただくようにアナウンス・誘導することも大切ですが、 実際に DM で問い合わせが来たときにチャンネルと同じようにチケット化する、というアプローチが取れるようになりました。

自動応答 bot

現在はまだ β ではありますが、「Halp Ansers」という自動応答の機能も開発されています。 現時点(2021/5)では日本語非対応なため、「Zoom」「SmartHR」などアルファベットの SaaS 名などで利用ができます。

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キーワードマッチで自動応答をすることで、適切な問い合わせ窓口へ誘導や、トラブルシューティングの URL やマニュアルを展開することができ、 かんたんな問い合わせであれば、bot で自己解決を促すこともできるようになりました。

終わりに

こうした業務の改善により、ユーザーにとっても使いやすく、情シスにとっても管理がしやすく、素早く問題が解決できる、 従業員体験を向上できるヘルプデスクを引き続き目指していきたいと思います。

さて、ここまで読んでいただいたあなたは、きっと一休の情シスに興味があると思います

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インターネット企業としては比較的歴史の長い成長した組織ではありますが、裁量を持ってシステムの選定・導入に携わることができ、 チーム一丸となって最新の技術・サービスや、エンタープライズ向け製品に触れることができる充実した環境です。

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追記

SmartHR yamashu さんの記事でご紹介いただきました。 Halp を含めたヘルプデスクソリューションとの比較がわかりやすくまとまっています!

tech.smarthr.jp