こんにちは。宿泊プラットフォーム開発チームの菊地です。
一休では月に一度、社内エンジニア向けにIkyu Tech Talkを開催しています。2022年から始まり、ありがたいことに2024年3月で丸2年を迎えることができました。
この記事では、Ikyu Tech Talkの2年間のふりかえりをしていきます。
また、私は社内イベントの主催が初挑戦だったので、どうやったらイベントを盛り上げられるのかと悩んだときもありました。
そこで、同じように自分の会社でTech Talkを開催してみたい人に向けてイベント運営の知見もお伝えしたいと思います。
開催のきっかけ
もともと定期的なプロジェクトの成果報告会はあるものの、業務で得たエンジニアリングの知見の共有をする場は設けられていませんでした。
あるとき「技術についてざっくばらんに話す場が定期的にあると楽しそう。一緒にやらない?」と声をかけてもらい、面白そうだったのでやってみることにしました。
Ikyu Tech Talkとは?
「技術のことならなんでもOK」と題して社内エンジニアに発表者をやってもらう60分の社内イベントです。
月に1回ペースでZoom開催しています。
カテゴリ別に過去の発表を抜粋してご紹介します。
自己学習の発表
個々人の技術研鑽の発表回です。業務では知ることができない興味関心分野を知ることができました。
- GitHub Copilotで 次世代のコーディング体験
- 正式リリース直後の2022年6月にGitHub Copilotについて発表してもらいました。これをきっかけにCopilotの業務利用を行うことになりました!
- TypeScript による型レベルプログラミングに入門した話
- 型定義の表現力の高さを活用して、tscにアルゴリズムを実行させるデモが鮮烈でした
プロジェクトのふりかえり
案件が終わったタイミングで、チームの皆さんに振り返りもかねて発表をしてもらいました。新しいフレームワーク・ツールを積極的に採用するスタンスなこともあり、初挑戦の技術のフィードバックが多かった印象です。チャット欄もおおいに盛り上がりました!
- 宿特化型SNS YADOLINKでのアーキテクチャ選定
- 一休で初めてReactを用いた事例でした。当時よくGraphQLクライアントとして選定されていたApollo Clientに対しての適不適の考察も興味深い内容でした。Apollo Clientについては以下の記事もご覧ください
- 宿泊予約サイトの検索処理チューニング
- 国内宿泊サイトの検索処理には複数のシステムが関わっています。それらを複合的にパフォーマンスチューニングしてレイテンシを半減させた実践的なテクニック紹介でした
- レストラン予約サイトフロントエンドの今とこれから
- YADOLINKに続きレストラン予約サイトもReact/Next.jsで構築していました。Next.jsによる状態管理の落し穴や今後の展望についての発表でした。詳細は他の技術ブログで詳しく書いているため、ご興味のある方は以下の記事もご覧ください
専門性の高い部署の知見を広める
一休には、データサイエンス部・アーキテクトチーム・SEO対策チームといった専門性の高い部署があります。なかには「もっと早く知りたかった」「入社時の資料にしてほしい」という声をいただく発表もありました。
- 猫でもわかる一休のデータ分析基盤(参加型)
- 一休のデータサイエンス部は、各プロダクトのデータをもとに分析基盤を提供しています。分析基盤の全体像をキャッチアップできただけではなく、データ基盤を安定させるための実践的なテクニックが非常に面白い発表でした
- 一休のサービスを支える インフラのはなし
- プロダクトのネットワーク構成やデプロイフローについて、SREチームが解説しました。特に入社したての人にとっては垂涎の資料でした
Tech Talkの成果
Ikyu Tech Talkは完全任意参加のイベントとして運営してきましたが、開発組織メンバーの半数以上が参加し続けてくれています!
ここまで続けられてきたのは「エンジニアリングの話をするのが楽しいから」というのに尽きると思います。その一方、会社としてTech Talkを開催することで以下のような成果が得られました。
チームを超えてナレッジを共有できる
これまでは、成果報告会などのビジネス的な成果を知る場はあったものの、互いのナレッジを知る機会はなかなかありませんでした。Tech Talkはエンジニアリングの話を聞く場として貴重な機会になりました。
実際にSlackを探してみたところ、Tech Talkの発表を受けて他のチームのソリューションを取り込んでいるやりとりもありました!
発表時のZoomのチャット欄では、「ウチでは○○を使ってます」というように参加者からの知見も多く寄せられ、双方向での知見交流が生まれたのも成果だと思います。
発表の機会があることで、個々人の知識がよりブラッシュアップされる
プロジェクトに没頭している間は、知識が表面的なままになっていることがあります。Tech Talkを目標に、知識の精査や最新情報の確認をすることで、それらを自分の知見として昇華するきっかけにできます。
たとえば、あるプロダクトの新規リリースを行ったチームに発表をお願いしたところ、初期開発時の技術選定の是非を振り返った発表をしてくれました。
選定したソリューションの選定基準だけではなく、不採用にした他の案の理由や今振り返るとその選択は妥当だったのかの洞察も述べていて、今後の技術選定にとって価値のある資料になったと思います。
カジュアルに自己発信の経験を積む場を提供できる
自己発信の機会は貴重ですが、いざ外部の勉強会で発表しようとすると初心者には足が重いこともあります。 Tech Talkでは顔見知りが参加者なので、カジュアルに発表の経験を積むことができます。 採用活動をしている会社にとって社外で発表してくれるエンジニアは貴重ですが、Tech Talkを練習場として提供することができます。
社内イベントの運営をしてわかったこと
この記事を読んでいる方のなかには、以下のような悩みを持った人もいるかと思います。
- 自分の会社でも社内イベントを開催してみたいけど、どうやったら盛り上がるだろうか、どう始めたらいいだろうか?
- 社内イベントを開催してるけど人がなかなか集まらない、集まっても盛り上がらない
- 登壇をお願いしても断られる、つらい
ここからは、社内イベントを開催したい方に向けて、Ikyu Tech Talkで得た運営のノウハウをお伝えします。
イベントがコンスタントに続けられる仕組みにする
Tech Talkの運営方針として、エネルギーが必要すぎて続けられなくなるよりもかけるエネルギー少なく長く運営できるイベントにすることを決めていました。
Zoom開催としたのも、イベント設営と集客に疲弊したくなかったからです。開催頻度も月1回くらいで「たまにやればいい」という気持ちで始めました。
発表を依頼したりイベント告知等の作業など、イベントの運営はただでさえ負担が大きいです。そのため、開催コストをできるだけ下げるのは非常に有用だったと感じました。
また一休ではリモートワークが導入されておりオフラインイベントにすると参加側の敷居も高くなってしまうため、双方にとってオンライン開催が最適でした。
発表者に対するリターンを設定する
発表準備や当日の精神的な負担が大きいので、モチベーションを高めるためにリターンを設けました。
具体的には「Tech Talk賞の開催」と「発表ごとに感想・メッセージの受付」を行っています。
Tech Talk賞とは、半期に一度、最も面白い発表をしてくれた人を投票で決め表彰するイベントです。一休各サービスで使用できるポイントを贈っています。
また、毎度の発表後には、参加者に発表の感想・メッセージを書いてもらってそれをまとめてお渡ししています。発表中はどうしても参加者のリアクションがわからなかったり、面白い発表だったかなど不安を感じる人も多いです。実際に発表者の方からも、発表のフィードバックがもらえてよかった、という声をいただきました。
一方で、メッセージの回収率が20%程度にとどまっているのが今後の課題です。対策としてイベント中にメッセージの記入時間を設けたらどうかと検討中です。
Zoomのコメント機能を活用して積極的な参加を促す
多くの参加者にリアクションしてもらいイベントを盛り上げるため、Zoomのコメント機能を活用しました。
質問や感想をその場で話すには緊張してしまう人もいるため、テキストベースでコメント欄に書き込んでもらう形式にしました。書かれた質問は、発表の区切りの良いタイミングで司会が拾いその場で発表者に回答してもらいました。
また、司会以外の運営はちょっとした感想も意識的に書き込むようにし、コメント欄を盛り上げることを心がけました。今ではコメント欄がフランクな感想を言える場所として定着したため、とてもよい試みだったと思います。
まとめ
以上が社内イベント運営のノウハウです。 社内イベントでは、運営・発表者・参加者それぞれが継続できる仕組みを作ることが最も重要だと感じました!
さいごに
ここまで読んでくださりありがとうございます!
今回は社内イベント Ikyu Tech Talkの紹介と、社内イベントの運営をしてみて得た学びをまとめました。本記事が自社のエンジニア組織を盛り上げたい方の力になれたら幸いです。
また、いつもIkyu Tech Talkに参加&登壇してくださっている一休のエンジニアの皆さんへ。
この場を借りて感謝の気持ちを伝えさせてください。皆さんがポジティブに参加してくれるおかげで、Ikyu Tech Talkが楽しいイベントとして継続できています。いつも参加いただき本当にありがとうございます。
さいごになりますが、一休では社内イベントに積極的に参加してくれる、アウトプットが得意なエンジニアを募集しています。
興味がわいた方は、以下のリンクから面接応募及びカジュアル面談へのご参加をぜひぜひお願いいたします!!!